都立高校入試分析 共通2022

2022年 都立共通入試問題 数学講評

 1.小問集合 基本問題ほど油断しない

問1~問6までは計算問題となり、問1は四則演算で累乗の計算、問2は文字式の分数計算で通分の計算、問3は平方根の展開の計算、問4は一次方程式、問5は連立方程式、問6は2次方程式で解の公式の計算などのミスに気を付けましょう。問7は資料の整理で中央値を求める問題、問8は円と角度、問9は三角形の面積を二等分する線の作図問題でした。基本的な内容ですので、計算ミスには気を付けて全問正解を目指したいです。

2.文章題(文字式の証明) 証明問題は部分点も取れるので必ず書く

例年通り「先生と生徒が作った」という設定でした。昨年は図形に関する問題でしたが、今年は整数に関する問題でした。問1はルールの確認、問2の証明問題も文字式の利用で一度は演習したことがあると思われる内容ですので、時間をかけることなく処理したいところです。

3.2次関数 数量変換は数学の要です

3の関数問題は、最近は1次関数と2次関数が交互に出題されています。今年は2次関数の年でした。問1は変域、問2は直線の式を求める基本問題でした。問3は面積から方程式を立てる問題ではなく、線分比の問題で立式の仕方に迷ったり、計算に手間取ったりしてしまうような問題でした。

4.平面図形 見方を変えるだけで大きく変わる

正三角形を2つつなげてできるひし形を基調とした問題でした。問1は角度を文字式で表す問題でした。問2(1)は三角形の合同を証明する証明問題、(2)は面積比に関するものでした。(2)については比較する図形を三角形ではなく、ひし形でとらえることが解法へのポイントです。

5.空間図形 図形の変化はイメージ力

直方体の辺上の動点に関する問題でした。ただし、問1問2ともに考えるべき秒数が指定されており問1は周の長さ、問2は体積を求める問題でした。問2では求めづらい立体の体積を問われていたので、工夫をする必要がありました。

2022年都立共通入試 国語

1.漢字の読み取り  あいまいな読み方はそのままにしない

例年通りの5問構成です。基本的な漢字の読みが問われます。

2.漢字の書き取り とめ、はねは丁寧に書く

例年通りの5問構成です。書き取り問題は基本的に小学生で習った問題が主に出題されます。

3.村山由佳『雪のなまえ』 主人公の言動は心情を読み取る大きなポイント

主人公と曾祖父母とのやりとりを描いた小説文です。例年付されていたリード文が今年はなく、また登場人物が主人公と曾祖父母とのやりとりになっているので、受験生もあまり経験しないやりとりになるので、慎重に場面を把握しながら読み進める必要があります。設問はいずれも記号選択です。登場人物の心情や表現の効果が問われていました。登場人物の心情については、発言や動作など丁寧に読み取っていくことが大切になります。話の展開と登場人物の心情を丁寧に読み取ったうえで選択肢を吟味する必要がありました。

4.大須賀節雄『思考を科学する』  段落の要旨に筆者の言いたいことがある

人間の「考える」という行為について考察した論説文です。抽象的な表現が多く、読みづらく感じた受検生も多かったと思われます。設問は下線部の意味や文章の構成を問う記号選択4問と200字の条件作文1問からなりました。記号選択では、段落ごとの要旨や段落同士の関係そして、論の展開など丁寧に確認することが求められました。条件作文は例年同様、文章内容をふまえつつ、適切な具体例を挙げながら自分の意見をまとめるというものでした。適切な具体例をどれだけ早く挙げられるかが、作文を書ききるポイントになります。

5.『山家集』/白洲正子・目崎徳衛の対談/白洲正子の文章  

古典を通して日本のすばらしさを理解

大問5では古典作品についての対談と古典作品の原文の出題が続いてきましたが、今年はそこに古典を解説した文章も加えての出題となりました。設問の内容は下線部の意味や現代語訳そして文法の選択問題が出題されました。全体的に文章が1つ増えた分だけ読む量が増加しています。時間内に解くために、速く、正確に読むことが求められました。

2022年 都立共通入試 英語講評

1.選択肢から答えを予測する   リスニング問題:小問数5

例年通り、問題Aと問題Bの2つに分かれていました。問題Aは設問ごとに対話とそれに関する質問を聞き、適切なものを選択肢から答える形でした。問題Bはカナダの中学生によるスピーチで、その内容に関する選択問題と英文記述問題でした。

2.丁寧に読み図表の情報を正確に読み取る   図表の読み取り(約650語):小問数4

1と2は、留学生と日本人の高校生による対話文の内容について、図表などを用いて、本文中の空所に補う語句の組み合わせとして適切なものを選ぶ問題でした。対話文の内容から図表の必要な情報を素早く理解する力が必要となります。3はその留学生が送ったEメールについて内容と一致する英文を選ぶ問題と、Eメールへの返信の一部を、3つの英文で書く英作文問題でした。全体的に2021年よりも文章の語数が200語ほど増えており、特に対話文の単語数が多くなっていました。

3.下線部は文の前後をよく読む   対話文の読解(約650語):小問数7

3人の高校生とアメリカ出身の留学生による、目標の達成の仕方についての対話文でした。例年通り、問1~問5は本文中にある下線部の内容に関する選択問題でした。問6は昨年と問題形式が変わり、空所に単語を選ぶ問題から4つの英文を本文の流れに沿って正しく並べかえたものを選ぶ問題に変わりました。問7は日記の一部に入る適切な語の組み合わせを選ぶものでした。問題をしっかり読み、文章の中から適切に単語を見つけることが大切になります。

4.最初と最後の文が物語のキーセンテンス    物語文の読解(約660語):小問数7

美化委員会の会長になった高校2年生の主人公の苦悩と成長を描いた物語文でした。問1は下線部の意味、問2は4つの英文の並びかえ、そして問3、問4は本文の内容理解に関する問題でした。主人公の心情の変化を意識しながらスムーズに内容を把握できたかどうかがポイントになります。

2022年 都立共通入試 理科講評

1.物理、化学、生物、地学の基礎だけで得点ゲット

例年通り、物理、化学、生物、地学の4分野から、基本的な知識や理解度を測る問題でした。

問1は化学で質量保存の法則、問2は生物で哺乳類の心臓のはたらき、問3は物理で光の屈折、問4は地学で前線の様子、問5は物理でオームの法則が出題されました。設問数は、問3を除き典型的な内容なので、基本用語、事項は理科で高得点を取るうえで、最低条件になります。

2.文章を丁寧に読んで確実に

物理、化学、生物、地学の4分野について、レポートの文章を読んだうえで答える問題で、例年通りの形式でした。問1は地学で月の観測、問2は化学で蒸留について、問3は生物で植物の成長について、問4は物理で重さについてでした。こちらの問題も、過去問を解いていれば、見たことがあるような問題なので、過去問の復習は大切になります。

3.地学は分析力で差をつける

岩石や地質時代に関する知識と、地層について考察する問題でした。問1は岩石の特徴の問題、問2は化石と年代の問題、問3は地層のでき方に関して、問4はボーリング図の分析の問題でした。地層について全般的な内容が出題されているので、復習するときは、単元全体で復習するべきだと思います。

4.生物は学年を通して全体でとらえる

植物の分類や生殖に関する知識問題と、遺伝に関して実験結果から考察する問題でした。問1は植物の分類について、問2は受精について、問3は遺伝について、問4はメンデルの遺伝の法則についての問題でした。生物分野は、各学年の単元だけでの出題ではなく、各学年で習う単元をまとめて出題することが多いので、生物の復習は生物分野を一気に3年分復習することで、線としてとらえることができ、覚えやすいです。

5.大切な元素記号 イオン式や化学反応式

問1、2は、電気分解と化学電池のしくみについて、問3、4は中和についての問題でした。問1、2過去問での出題例が少ないので、過去問以外の演習も大事になります。問3、4は、中和に関する典型問題でした。イオン式、化学反応式は教科書に載っている式は全て覚えるようにしましょう。

6.物理に求められるのは作図と計算

レール上での物体の運動についての問題でした。問1は平均の速さを計算する問題、でした。小数の計算になるので計算ミスに注意しましょう。問2は力学的エネルギー保存の法則についてです。記述でも説明できるように練習しましょう。問3は斜面における分力の作図問題です。基本的な作図問題で、過去問にも類題が出題されました。問4はエネルギーの変換についての問題でした。問2の力学的エネルギー保存の法則と同じように、記述でも解けるようにしましょう。

2022年都立共通入試講評 社会

1.小問集合 基本の問題ほど油断禁物

問1は地理分野からは地形図と写真を用いた問題が出題されました。資料を丁寧に読み、地形図と見比べることが要求されました。歴史分野からは文化財の唐招提寺の所在地を選ぶ問題が出題されました。世界遺産の問題は頻出問題なので全ておさえておきましょう。問3の公民分野からは文章から用語を判定する出題されました。公民分野は、用語の問題が多いので、しっかりと用語の意味を押さえましょう。

2.世界地理 各気候の雨温図の特徴で全てがわかる

世界地図をもとに、気候、各国・地域の特色を問うものでした。雨温図の分析は必須問題になるので、各気候の特徴をしっかりと押さえましょう。貿易に関する問題は、文章から国を特定したうえで、他の選択肢と慎重に比較しながら統計表を選び、読み間違えがないように気を付けましょう。

3.日本地理 資料の正確な読み取りが正解へと近づく

日本地図をもとに問1、問2は都道府県や工業地域を特定するもの問題が出題されました。各工業地域の特徴をしっかりと押さえましょう。問3は新旧地形図の比較が出題されました。比較のポイントは地図記号の変化を読み取ることなので、地図記号はしっかりと覚えていきましょう。形式は例年通りであったものの、与えられた文章や統計から解答のポイントとなる部分を探し出すのが難しく、また、やや複雑な計算処理を必要とするものもありました。

4.歴史 各時代の出来事を時代背景から考える

古代から近現代の出来事に関して出題されました。問1、問3は4つの文章を時代順に並べる問題でした。問2は文章の出来事をどの時代に当てはまるかを問う問題でした。時代の特徴や大きな出来事は歴史を勉強するうえでは大変重要になります。問4は、文章と資料の読み取りになります。資料の読み取りがポイントになります。

5.公民 用語だけでなく事例や一連の流れからとらえる

問1、問4からは政治分野から基本的人権や国会が出題されました。基本的人権からは、事例を問う問題、国会では、立法の過程までをしっかりと理解している必要がありました。用語をただ覚えるのではなく、具体例や一連の流れと全体をとらえていくことが大切になります。問2、問3は経済分野から経済史や現代社会の特徴に関するものが出題されました。経済史は時期の特定、現代社会の特徴は記述問題として出題されました。記述問題に関しては、毎年、出題されていますので練習が必要です。

6.総合 社会の総合は地図や資料が生命線

世界各国の地理や歴史を問う総合問題でした。問1は各国の社会資本の歴史の特定問題、問2の資料から首都の位置を特定する問題は、文章をヒントに国を特定したうえで、地図に表示された目盛りを活用できたかどうかがキーとなるものでした。普段の勉強から、地図で場所の確認をする習慣をつけましょう。問3は文章から、資料を特定する問題です。丁寧に文章を読み、資料をしっかりと読み取る力が問われます。