2022年都立高校入試 5教科講評

1.あなどれない リスニング問題   

リスニングは問題Aと問題B からなり、問題Aは3問、問題Bは2問で合計20点でした。問題Aは対話文の小問で、4つの選択肢から適切なものを選ぶ問題でした。問題Bはスピーチのリスニングで、選択肢から選ぶ問題と自分で考えた英文を記述する問題でした。

2.丁寧に読み図表の情報を正確に読み取る 

第一の長文は、日本人の高校生が留学生と対話する文章から、図表などを用いて、本文中の空所を補充する問題でした。対話文の内容から図表の必要な情報を素早く理解する力が必要となります。留学生から送られたEメールの内容について、正誤問題と、英作文としてEメールへの返信を3文で書く問題が出題されました。全体的に前年度の問題よりも文章が長くなっており、特に対話文の単語数が多くなっていました。

3.下線部は文の前後をよく読む 

第二の長文は、アメリカの留学生と3人の高校生による対話文でした。本文中の下線部について問われる選択問題が主でした。問6は昨年と問題形式が変わり、空所に単語を選ぶ問題から4つの英文を並べかえる選択問題に変わりました。問7は本文中の日記の部分に、適切な語を入れて組み合わせる問題でした。問題をしっかり読み、文章の中から適切に単語を見つけることが大切になります。

4.最初と最後の文が物語のキーセンテンス 

第三の長文は物語文で、高校生の主人公が美化委員会の責任者になり、悩んだ末に成長する物語でした。問1は下線部の意味、問2は4つの英文の並びかえ、そして問3、問4は本文の内容理解に関する問題でした。主人公の心情が変化することをとらえ、内容を把握できたかどうかがポイントになります。

 1.基本問題ほど得点のチャンス 

問1~問6までは計算問題となり、問1は四則演算で累乗の計算、問2は文字式の分数計算で通分の計算、問3は平方根の展開の計算、問4は一次方程式、問5は連立方程式、問6は2次方程式で解の公式の計算などのミスに気を付けましょう。問7は資料の整理で中央値を求める問題、問8は円と角度、問9は三角形の面積を二等分する線の作図問題でした。数学における基本を問う問題なので油断せずに解きましょう。

2証明問題はトレーニング成果

「教師と生徒がそれぞれ考えて作成した問題」という設定の問題でした。昨年は図形に関する問題でしたが、今年は整数に関する問題でした。問1は教師が示した問題の確認、問2は生徒が作成した問題から文字式の利用で証明をします。

3.数量変換は数学の要です

3の関数問題は、最近は1次関数と2次関数が交互に出題されています。今年は2次関数の年でした。問1は変域、問2は直線の式を求める基本問題でした。問3は面積から方程式を立てる問題ではなく、線分比の問題で立式に苦労する問題でした。

4.見方を変えるだけで大きく変わる

二つの正三角形から作ったひし形についての問題でした。問1は角度を文字式で表す問題、問2(1)は三角形の合同を証明する証明問題、(2)は面積比の問題でした。(2)については比較する図形を三角形ではなく、ひし形でとらえることが解法へのポイントです。

5.図形の変化はイメージ力

立体図形の問題は、直方体の辺上の動点についての問題で、問1は周の長さ、問2は体積を求める問題でした。問1は三平方の定理を使って辺の長さを求めますが、計算ミスが多く出る問題です。問2はイメージが難しい立体なので、立式を工夫しなければなりませんでした。

 1.あいまいな読み方はそのままにしない

漢字の読みは5問出題されました。基本的な読み方が問われます。

2.とめ、はねは丁寧に書く

昨年と同じく5問出題されました。書き取り問題は基本的に小学生で習った問題が主に出題されます。

3.主人公の言動は心情を読み取る大きなポイント 村山由佳『雪のなまえ』

小説文は、主人公と曾祖父母の物語で、会話が主になっています。文章の最初に内容を説明するリード文が今年はありませんでした。また多くの受験生が曾祖父母と話した経験がないと思われる中、主人公と曾祖父母とのやりとりを理解するには、場面展開など丁寧に注意しながら読み進めることが大切です。登場人物の思いや表現の意味について、選択問題の形で出題されていました。登場人物の心情については、発言や動作など丁寧に読み取っていくことが大切になります。

4.段落の要旨に筆者の言いたいことがある 大須賀節雄『思考を科学する』

論説文は、人間の「思考」についてがテーマです。設問は下線部の意味や文章の構成を問う記号選択問題と200字の条件作文からなりました。記号選択では、段落ごとの要旨や段落同士の関係そして、論の展開など丁寧に確認することが必要でした。条件作文は昨年と同じく、自分の意見に合う具体例を挙げながらまとめるというものでした。適切な具体例をどれだけ早く挙げられるかが、作文を書ききるポイントになります。

5古典を通して日本のすばらしさを理解 『山家集』/白洲正子・目崎徳衛の対談

古文問題は古典作品についての対談、古典作品の原文、そして古典の解説文の3つからなる出題でした。設問の内容は下線部の意味や現代語訳そして文法の選択問題が出題されました。全体的に読む量が増えたので、時間内に解くために、速く、正確に読むことが求められました。

1.基本の問題はチャンスメイク

問1の地理は地形図と写真を合わせた問題が出題されました。資料を丁寧に読み、地形図と読み取ることがポイントになりました。歴史は唐招提寺についての問題が出題されました。世界遺産の問題は頻出問題なので全ておさえておきましょう。問3の公民は一問一答タイプの問題が出題されました。公民分野は、用語の問題が多いので、しっかりと用語の意味を押さえましょう。

2.各気候の雨温図の特徴で全てがわかる

世界地図をもとに、各地域の特徴についての問題でした。雨温図の分析は必須問題になるので、各気候の特徴をしっかりと押さえましょう。問2の貿易の問題は、問われている国を文章から見極め、統計表を比較しながら選択肢を選ぶ問題でした。

3.資料の正確な読み取りこそがケアレスミスをなくす

問1、問2は日本地図から都道府県や工業地域を特定する問題が出題、問3は新しい地図と古い地図を比較し考察する問題が出題されました。各工業地域の特徴をしっかりと押さえ、比較の問題は地図記号の変化を読み取り、設問に注意しながら説明しましょう。

4.各時代の出来事を時代背景から考える

古代から近現代の計測技術の歴史に関して出題されました。問1、問3は4つの文章を時代順に並べる問題でした。問2は文章の出来事をどの時代に当てはまるかを問う問題でした。時代の特徴や大きな出来事は歴史を勉強するうえでは大変重要になります。問4は、文章と資料の読み取りになります。資料の読み取りがポイントになります。

5.用語だけでなく事例や一連の流れからとらえる

問1、問4からは政治分野から基本的人権や国会について出題されました。基本的人権からは、事例を問う問題、国会では、立法の過程までをしっかりと理解している必要がありました。用語をただ覚えるのではなく、具体例や一連の流れと全体をとらえていくことが大切になります。問2、問3は経済史をもとに現代社会のを論ずる問題でした。経済史は時期の特定、現代社会の特徴は記述問題として出題されました。記述問題に関しては、毎年、出題されていますので練習が必要です。

6.社会の総合は地図や資料が生命線

問1は各国の社会資本の歴史の特定問題、問2は資料を読んで、首都の位置を探す問題でした。問題文から問われている国を見つける問題でした。普段の勉強から、地図で場所の確認をする習慣をつけましょう。問3は文章から、資料を特定する問題です。丁寧に文章を読み、資料をしっかりと読み取る力が問われます。

  

1.物理、化学、生物、地学の基礎だけで得点ゲット

物理、化学、生物、地学の各分野の基本問題でした。

問1は化学で質量保存の法則、問2は生物で哺乳類の心臓のはたらき、問3は物理で光の屈折、問4は地学で前線の様子、問5は物理でオームの法則が出題されました。基本用語、事項は理科で高得点を取るうえで、最低条件になります。

2.文章を丁寧に読んで確実に

物理、化学、生物、地学の各分野について、レポートの文章を通しての設問でした。問1は地学で月の観測、問2は化学で蒸留について、問3は生物で植物の成長について、問4は物理で重さについてでした。こちらの問題も、過去問を解いていれば、見たことがあるような問題なので、過去問の復習は大切になります。

3.地学は分析力で差をつける

地質について全般的な内容が含まれた問題でした。問1は岩石の特徴の問題、問2は化石と年代の問題、問3は地層のでき方に関して、問4はボーリング図の分析の問題でした。地層について全般的な内容が出題されているので、復習するときは、単元全体で復習するべきだと思います。

4.生物は学年を通して全体でとらえる

植物の分類や生殖、遺伝に関する問題でした。問1は植物の分類について、問2は受精について、問3は遺伝について、問4はメンデルの遺伝の法則についての問題でした。生物分野は、各学年の単元だけでの出題ではなく、各学年で習う単元をまとめて出題することが多いので、生物の復習は生物分野を一気に3年分復習することで、線としてとらえることができ、覚えやすいです。

5.大切な元素記号 イオン式や化学反応式

問1、2は、電気分解と化学電池のしくみについて、問3、4は中和についての問題でした。問1、2過去問での出題例が少ないので、過去問以外の演習も大事になります。問3、4は、中和についての問題でした。イオン式、化学反応式は教科書に載っている式は全て覚えるようにしましょう。

6.物理に求められるのは作図と計算

物体の運動の実験についての問題でした。問1は平均の速さを計算する問題、でした。小数の計算になるので計算ミスに注意しましょう。問2は力学的エネルギー保存の法則についてです。記述でも説明できるように練習しましょう。問3は斜面における分力の作図問題です。基本的な作図問題で、過去問にも類題が出題されました。問4はエネルギーの変換についての問題でした。問2の力学的エネルギー保存の法則と同じように、記述でも解けるようにしましょう。