都立受験の研究会


~受験勉強を通して~

私は、生徒たちに対し、時折、アメリカの大統領セオドアルーズベルトの二つの話について、お話することがあります。

一つ目の話は、彼の「リーダー像」について、

そして二つ目の話は、彼の「読書観」についてです。

セオドアルーズベルトは、世の中に影響するリーダーには2種類があると言っております。

一つ目はもともと天賦の才能を持っているリーダー、例えばトラファルガーの海戦を指揮した司令官、ゲティスバーグ演説をした大統領等のように、並外れた才能を生まれた瞬間に持ち合わせている人物たちです。

二つ目は、凡人どころか、どちらかというとひ弱で才能なく生まれてきたにもかかわらず、「異常なまでの困難を打ち破る精神力と継続力」を持って、人格形成を行い、後年大人になった後、周りの人に良い影響を及ぼすリーダー像です。

この2種類のリーダー像にスポットを当て、自らの人生をルーズベルトは「二つ目のリーダー像」に照らし合わせて、自分の人生についての経験をいろいろと話しています。

彼はリーダー像に対し、わかりやすい言葉で次のように話しています。

「何にもまして人間の本質を知り、人間の精神が必要としているものを知っておかなければならない。そうすれば、散文であれ詩であれ、想像力に富んだ偉大な作家たちによって、他のどこにも見られない人間の本質と精神が必要としているものが明らかにされるだろう。」

生徒たちに、このセオドアルーズベルトのリーダー像について話した時、自分自身の受験勉強に置き換えて、自身を鼓舞し、彼に興味を持った生徒が毎年多々おります。

セオドアルーズベルトのもう一つの話として、彼の「読書観」について、書かせていただきます。

それは「聞き手」と「ルーズベルト」とのさりげない会話でした。

「ジェイムス=フェニモア=クーパーの『レザーストッキング物語』の登場人物を知っているか」

「知っているも何も、彼らと旅をし、食事を共にした。彼らの強さも弱さも知っている。」と彼は答えました。

彼は、読んだ本の何ページに何が書いてあったかを記憶していました。

それだけでなく、本を読んだ記憶というよりも、“物語の中の登場人物と一緒に行動した”と思えるくらいに物語に没頭し、正確に記憶していました。

そして、聞き手が一番驚いたのは、ルーズベルト自身が「自分自身の気持ちの揺さぶり」についてすべて記憶していたことでした。

この「気持ちの揺さぶり」という素直な感情を大切にしたルーズベルトの人間観、読書観は、まさしく人間にとって最も大切なことではないでしょうか?

セオドアルーズベルトの「リーダー像に対する考え方」や「読書観」は受験勉強において必要とする力の源泉ではないかと、私は考えます。

今回は、都立受験の研究会の言葉として、セオドアルーズベルトの伝記を通して、受験勉強に対しての自分の考え方を書かせていただきました。

なにとぞよろしくお願いいたします。

高校受験の研究会 一同 設立30年